出稼ぎ

タグ付け作業をしながらネパールでの出来事を思い出す。
まだ2週間位前の出来事だったりする

帰国する日にカトマンズからバンコクに向かう飛行機は満席に近かった。
殆どがネパール人。

私の隣もネパール人男性だった。20歳くらいだろうか?
初めて飛行機に乗ったようだし、キャップを被ってジーンズと新しいスニーカー
出稼ぎだな〜きっとっ・・・

飲物は何にしますか?という問いにも英語もわからないようで反応しない。
私の知っているネパール語で<水がのみたいですか?コーラのみますか?>聞くと
<パニ:水>とだけ答える。

<水?>と聞き直すとネパール人式<YES:頭を横に倒すようにペコリとする>
日本人の<YES>は首を縦に振るけれどネパール人は横に一度倒すのです。
日本人からすると<No>という事なの?と思うけれど、
ネパールでは<YES>となる。

<水が飲みたいそうですよ水下さい>と言って水を渡すけどテーブルの開き方がわからいみたい。
自分のテーブルを開いてみせると理解したらしくテーブルを広げた。

その後、バンコク行きの便なのでタイの入国イミグレカードが配られた。
私が貰うと手を出すので、<バンコクに行きますか?>と聞くと反応がない・・・

ネパール語で<マレーシアに行く?>ときくと、また頭を横に倒してYES
yesくらい言えばいいのに無言・・
<あなた、これは入らない>とネパール語でいうと理解したらしい。

そんな彼をみてシヴァの弟を思い出す
体は大きいけど怠け者の弟だった。
一度カトマンズに出てきたが、何もしないので山に戻っても畑を耕す訳でもなく
ボーっとして家に戻りご飯を食べるだけの生活を繰り返していた。

カトマンズに来ても同じだった。
工場の仕事をしてお金にすれば良いと簡単な糸切り作業をさせると
ボケーとして服を切ってシヴァと私に怒られるのです。

シヴァもあまりにも努力をせず考えないで時を過ごす弟に
<山に帰って畑を耕せ!!野菜をつくれば多少のお金にはなるだろう!>と
殴ったこともあったそうだ。
私も脳神経科につれていこうと真剣に悩むくらいだった。
実際に<変だから医者に連れて行こう!頭の病気なんんだよ〜>とSHIVAに聞いた程だった

こうなったら。。。と
家族会議でお金があったらサウジアラビアのビル建設現場に送ろうと考えた事もあった。

家族がいない場所にいけば、怒られて殴られるだろう。
そこで今まで通りに生きられないと学ぶのではないかと。。。

その後シヴァは私の預けた仕事の資金に手を出してエージェンシーに
払ってマレーシアに送ったのだった。あれから1年近くたつ。

※お金は使い込みがバレてから即返金させました

<最近君の弟はどうよ?>とシヴァに聞くと
<姉さん変わったよ!手紙に今まで何で怒られたか理解できた。殴られて良かった。
働いてお金を稼ぐという事がどういう事なのかわかった。有り難う感謝しています>という手紙まできたそうだ。

環境で人は変われるのだ。と思った。
shivaに<あなたも行ったら?もっと真剣にビジネスの意味を考えるかもよ?>と提案もしてみた。

弟は送金も少ししてくれるようで、さらに借金をしてshivaは土地をかったそうだ。
土地〜といっても小さい家がなんとか建つ位の広さらしいが私はまだ見ていない。

私より金持ちになったよSHIVA!
娘はいるし、土地もあるしね。私なんか土地なんて夢みたいな話だよ。
いくら働いても東京の土地は買えないねっ

<今は土地転がしが一番儲かる商売>
私もカトマンズにいるホントだな〜と思うくらい土地の値段が上がっている。
シヴァも家を建てるのはは無理でも土地だけは今買わないと将来は買えなくなると思ったらしい。

田舎にいればマオ兵士としての参加を求められるし、
仕事は農業しかないし、それでは暮らしていけない。
だからといって山の土地なんて売ってもタダみたいなものだ。

出稼ぎできる位の資金を借りる事ができる知人がいる人はまだ恵まれている。
水という英単語もわからずマレーシアに飛んでいくこの若者をみて、
彼の家族は借金してマレーシアに送ったんだろうな〜
彼の肩に家族の期待がかかっているんだろうな〜
言葉の通じない国でいきなり働くのは、最初は辛いだろう。
と考えるとなんだか複雑な気分になった。

出稼ぎにいけば家も簡単に建つネパール。
日本人が出稼ぎしても家は簡単には建たない。。

私もネパール人と同じ境遇なら3年我慢して働いて
家を建てて後は楽に暮らしたいと思うだろう。

私が仕事をしているのがわかると
<日本にいくビジネスVISAをくれないか?できないなら結婚すれば簡単だから誰か紹介してくれ。>
<ブスのほうが結婚しやすいからブスでも歳がいってても良いから>
などと失礼な事を知らないネパール人に聞かれるタメルという場所。

リングロードの周辺にはすごい勢いでビル建築中。
バブル?と思うほどだ。貧富の差も都会と田舎では開いている。

旅行者として通り過ぎ過ごした日々と今では見える場所がちがってみえる。

全てがこんな失礼なネパール人ではないけれど、
女性で一人でツーリストエリアで過ごしていると
ネパール人でさえ<信じられないっ!そんな事聞くの?>という事や
公共の場で書けないような事を聞かれたり言われたりする。

信じてもらえない。。。録音して聞かせたら信じるだろうか・・

最近自転車を買ってタクシーにできるだけ乗らない様にして、
さらに新しいレストランに行かないようにして、
気分の悪くなる質問をされない店にしか出入りしない。

ネパールを好きになったり嫌いになったり、
傷つけられたり傷つけたり、、ネパールにいる時に人間臭さを日本より感じるのです。

でも何故だか再び向かってしまうネパール。
何かに惹かれるのか・・ネパールが好きだけでネパールを選んだ訳ではなかったけど
何かあるんだろうな〜この国にはっ

そして今日は帽子のタグを付ける作業をしております。